日本に来ているアメリカ人から、日本人って猫背の人多いよね、と小声で言われました。 ん?それで思い出した話。
以前、レッスンにいらした在米数年の日本女性。歯が相当に悪く、いくら治してもすぐダメになり、歯医者さんから、姿勢を見直すようにと言われて来たのでした。
確かに、その人は、顎をぐっと引く癖を持っていたので、奥歯に常に負担がかかり、歯並びにも影響し、また歯ぎしりの原因にもなっていることが容易に想像できました。
顎だけでなく、首にも肩にも、必要のない力が常に入っていました。
そして、驚くことに、
余計な力を抜いて、顎も楽になって、体が正しい方向性を持って立つようにガイドすると、
「自分がエラそうに、威張っているように感じる」と言いました。
鏡で見せ、 写真を撮って見せて、 全然エラそうに見えないことを伝えても、心が受け入れられないという感じで、帰って行かれました。
アレクサンダーの、最も尊敬される第一世代の教師の一人、ウォーター・キャリントン氏(1915-2005) は「アレクサンダーテクニックは、体のワークではなく、メンタルワークである」と言ったのですが、まさに、そのことを表しています。
「威張って、エラそうに見える」という思い込みは、謙虚に見えないといけない、、、という恐怖や不安から来ているようにも思えます。
私たちは、姿勢が悪いと姿勢を良くしようとします。でも、形だけよくしようと思っても、うまくいきません。体は、心と、頭と全部繋がっています。アレクサンダーのワークが「人間力全て」を見ると言っているのは、そのことです。
歯を治すためには、歯医者さんに行けば良いと思うかもしれませんが、上述の生徒さんのように、歯を治すためには、姿勢を見直さなければならず、姿勢を見直すためには、思考や感情まで見ていかないと、本当の意味で解決していかない場合が多いのです。
昨日レッスンにいらした青年とのワークでも、それに似た面白い発見がありました。日本の謙遜の文化というのは、私たちの体の中に、知らず知らずのうちに、間違った形で入り込んでいるようです。続きは、明日。
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